architecture

FLOAT(東京都世田谷区)

 

 敷地は都心の閑静な住宅地の一角。パイロットと元キャビンアテンダントの御夫婦はタワーマンションでの生活を終え、2人の子供との新たな生活を送るべく新居をデザインすることを決意。近隣の豪邸の緑を室内に取り込めば借景として生かせることが敷地購入の大きな決め手になった。

 位置指定道路の分譲地では総じて隣家との距離が密接している。そのため周辺環境から適度に閉じながらも通風や採光が取り込む必要があった。採用した繊細なステンレスメッシュフェンスは独特のファサードをつくりあげながら環境との距離を生み出している。

 内部は北側斜線の影響を受ける3階の傾斜屋根を生かしたスキップフロアの構成。2階リビングから借景の特等席となるスタディルームや子供室に微妙なレベル差を設けることで室内に浮遊感を生みだしている。北側の傾斜天窓から見える緑景がモノトーンの室内に彩りを与え、光や影と組み合わさることでドラマティックな空間を生み出している。妻側のフルオープンの大開口を実現するために設けた格子状の木造耐力が室内意匠としても程良いアクセントを生みだしている。また、一枚の鉄板を溶接してつくりあげた三角断面のミニマルなキャンティ階段は美しいアートピースとして壁面を彩り、南面大開口や階段上部の天窓からの採光によって美しい陰影が浮かび上がる仕掛けだ。スチールロッドで天井から吊られた子供室はさながらツリーハウスのような心地良さがあり、ステップに腰掛けながら空の景色を楽しむことが可能。コンパクトな一室空間でありながらも、計算しつくした複雑な仕掛けを随所に施すことで、豊かな空間が生まれる。それこそがまさしく日本の都市住宅の真骨頂である。

■DATA

所在地 東京都世田谷区
竣工 2012年12月
敷地面積 70.03㎡(21.18坪)
建築面積 42.00㎡(12.70坪)
1F床面積 35.62㎡(10.78坪)
2F床面積 42.00㎡(12.70坪)
3F床面積 36.14㎡(10.93坪)
延床面積 113.76㎡(34.41坪)
構造 木造
規模 地上3階建
用途 専用住宅
家族構成 夫婦+子供2人
構造設計 正木構造研究所
  正木健太
設備設計 シマダ設計
  島田善衛
施工 前川建設
建築写真 西川公朗
 

■MEDIA