architecture

ALLEY(東京都墨田区)

 8年前に墨田区で設計・監理を行った「MINI」のクライアントが結婚し、東京スカイツリーにも程近い下町の風情が残る小さな敷地を購入した。今度は夫婦のための家をつくりたいとそのご主人より依頼を受け、記念すべきAPOLLO2棟目のプロジェクトがスタートした。

 前回の「MINI」同様、袋小路の奥にある狭小敷地であることから、車両の通行や施工性を考慮した上で主体構造を木造としている。外壁には落ち着いたダークブラウン色のガルバリウム鋼板横葺を採用しているため、古い街並みにも違和感なく馴染んでいる。

 前面道路側をあえてガラス張りにすることで、昼は外壁に馴染むモダンな風景に、夜は内部の木造表し天井やストリップ階段がライトアップされ、光の塔のごとくドラマティックに浮かび上がる仕組みとした。ファサードの大開口部に加えペントハウスに設けたスカイライトからも光のシャワーが降り注ぐため、室内は明るく、住宅密集地であることを感じさせることはない。

 大きな木製引戸を開けると現れる広い玄関土間の先には、客間としても利用可能なコンパクトな空間を用意。上り框に腰かけてながら、土間との一体感を味わえる中間領域は、昔ながらの日本の生活空間を彷彿させるマルチパーパスな空間である。2階のファミリールームには椅子やソファを置かずあえて掘りごたつ式の座卓をメインに据え、そこからは東京スカイツリーが見上げることができる仕組みとした。築地で食材を仕入れるほど料理やお酒が大好きな御夫婦のために2人で本格的な仕込みのできるコの字型のオープンキッチンを用意。キッチンエリアと座卓エリアの間に段差を設けることで、小さなワンルームのなかに程良くアクセントを生みだしているのも特徴だ。夜は間接照明をメインとしたライトアップで昼とは異なる非日常の空間が浮かび上がる。普段から忙しいエンジニアのDINKS夫婦にとって、精神に充足を与える空間こそが求めていた家の姿なのかもしれない。

■DATA

所在地 東京都墨田区
竣工 2013年2月
敷地面積 52.78㎡(15.96坪)
建築面積 32.89㎡(9.94坪)
1F床面積 32.89㎡(9.94坪)
2F床面積 32.89㎡(9.94坪)
3F床面積 32.89㎡(9.94坪)
PHF床面積 3.46㎡(1.05坪)
延床面積 102.13㎡(30.89坪)
構造 木造
規模 地上3階建
用途 専用住宅
家族構成 夫婦
構造設計 正木構造研究所
  正木健太
設備設計 シマダ設計
  島田善衛
施工 解良工務店
建築写真 西川公朗
■土地探しコース
仲介:トランジスタ(木村茂)